公認会計士試験の内容(科目や勉強時間)について

アイキャッチ(21-1)公認会計士

どうも、公認会計士試験の受験を経験しているgordito(ゴルディート)です。

  • 公認会計士試験の科目について知りたい。
  • 合格するまでの勉強時間はどのぐらい?

このような悩み、疑問を解決できる記事になっています。

なぜなら、実際に公認会計士試験を受験した私が試験の内容について紹介するからです。

記事を読み終えると、公認会計士試験の全体像(科目や勉強時間等)が把握できるようになります。

公認会計士試験の『概要(科目)』

概要と試験科目(21-2)

概要

金融庁にぶら下がっている『公認会計士・監査審査会』という組織が、公認会計士試験の実施団体となります。

1年に2回の『短答式試験』と1回の『論文式試験』が実施されています。

『論文式試験』に合格して、晴れて公認会計士試験の合格ということになります。

短答式試験(マークシート)

年に2回実施され、短答式試験に合格しないと論文式試験を受験することができません。

短答式試験はマークシート形式になります。

基本的には6択問題ですが、5択問題などがあったりします。

合計時間5時間の試験を1日で実施しますが、試験の内容は次の通りです。

試験科目試験時間配点
企業法9:30-10:30
(1時間)
100点
管理会計論11:30-12:30
(1時間)
100点
監査論14:00-15:00
(1時間)
100点
財務会計論16:00-18:00
(2時間)
200点

※令和2年の試験時間と配点です。

合計500点のうち、300点(60%)を会計学(財務会計論と管理会計論)が占めていますので、会計学を得意科目にすることが合格への近道ですね。

合格点は一律に決まっているわけではなく変動します。

また、短答式試験に合格すると、以後2年間に渡って短答式試験が免除になります。

仮にAさんが、令和2年に短答式試験に合格したけど論文式試験に落ちてしまった場合、令和3年と令和4年の短答式試験は免除となり、論文式試験からの受験となります。

論文式試験(記述)

年に1回実施され、論文式試験に合格して、ようやく公認会計士試験に合格したことになります。

論文式試験は記述形式になります。

合計時間13時間の試験を3日間で実施しますが、試験内容は次の通りです。

試験科目試験時間配点
監査論10:30-12:30
(2時間)
100点
租税法14:30-16:30
(2時間)
100点
会計学10:30-12:30
(2時間)
*300点
(午前と午後)
会計学14:30-17:30
(3時間)
企業法10:30-12:30
(2時間)
100点
選択科目14:30-16:30
(2時間)
100点

※令和2年の試験時間と配点です。選択科目は経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目選択することになります。

短答式試験ほどの比重はありませんが、合計700点のうち、300点(約43%)を会計学が占めているので、やはり会計学は得意科目にしておく必要があるでしょう。

短答式試験と同様、合格点は一律に決まっているわけではなく変動します。

また、全体としては不合格だけど、ある科目に合格すると、以後2年間に渡ってその科目の試験が免除になります。

仮に先ほどのAさんが令和2年の論文式試験で、会計学だけ科目合格した場合、令和3年と令和4年の短答式試験と論文式試験の会計学が免除となります。

試験科目

ごく簡単に各科目について紹介します。

詳しく知りたい方は、『公認会計士・監査審査会』が公表している出題範囲をご覧になってください。

会計学(財務会計論、管理会計論)

出題範囲は、簿記、財務諸表論、原価計算、管理会計と極めて広いです。

監査論

主な出題範囲は、財務諸表監査の理論、制度、実務などです。

企業法

主な出題範囲は、会社法や金融商品取引法などです。

租税法

主な出題範囲は、法人税法、所得税法や消費税法などです。

選択科目(経営学)

主な出題範囲は、経営戦略論やファイナンス理論などです。

経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目選択ですが、最も勉強時間が短く、かつ内容が簡単なので、70-80%以上の受験者は経営学を選択します。

公認会計士試験の『受験資格』

受験資格(21-3)

よく勘違いされているのが公認会計士試験の『受験資格』です。

大学とか卒業していないと受験できないんでしょ。

という人がいますが、新試験制度においては受験資格の制限はありません。

旧試験制度においては、大学、短大や高専の卒業等、一定の条件を満たさない受験者は、『第2次試験(現在の短答式試験)を受けるのに相当な一般的学力を有するかどうか』を判定するために、第1次試験(国語、数学、外国語(英語)、論文)を受験しなければなりませんでした。

試験制度の移行

旧試験制度:2005年以前(第1〜3次試験で構成)

新試験制度:2006年以降(短答式試験と論文式試験で構成)

そのため、中学生、高校生などは基本的に受験資格がなかったのです。

しかし、新試験制度では受験資格に制限はないので、年齢、性別、学歴、国籍等に関わらず誰でも受験可能です。

その結果、新試験制度に移行してから高校生で合格する強者が出てきています。

現在の最年少合格は『16歳』です。

いずれ最年少合格を更新する天才少年少女が現れることでしょう。

繰り返しになりますが、『受験資格』などはなく、どなたでも受験できるのが、現在の『公認会計士試験』なのです。

公認会計士試験の『難易度』

難易度(21-5)

『合格率』だけにフォーカスし、試験の『難易度』を判断する人がいますが、そうすると試験の実際の『難易度』を見誤る可能性があります。

というのも、必ずしも『合格率』と『難易度』は相関関係にあるわけではないからです。

例えば、公認会計士試験の受験生の一部が受験する『日商簿記1級』と『公認会計士試験』の『合格率』は10%前後でほぼ同じです。

それでは、両者の難易度はほぼ同じなのでしょうか。

また、司法試験の合格率は25%前後で、公認会計士試験の合格率10%前後よりも高い水準です。

それでは、司法試験の方が公認会計士試験よりも簡単なのでしょうか。

両方とも正しい判断とは言えないですよね。

『難易度』=『合格率』だと紹介するWebサイトが散見されますが、鵜呑みにしない方が良いでしょう。

正確な『難易度』を知るには、次のような項目を総合的に判断する必要があります。

『難易度』は総合的に判断すべき
  • 合格率
  • 受験資格
  • 試験範囲
  • 勉強時間 etc

そのため、『難易度』を比較するのは結構難しいです。

とは言っても、公認会計士試験の難易度について知りたい読者の方は多いでしょう。また、よく比較される『弁護士』や『税理士』との比較も知りたいことでしょう。

そこで、『資格 難易度』で検索をかけて1つ目にヒットした『資格の取り方』というWebサイトの資格別偏差値(難易度)を一応、紹介しておきます。

資格名偏差値
司法試験77
公認会計士77
税理士75
日商簿記1級67
行政書士62

偏差値は『資格の取り方』が独自に算定しているものです。

個人的には、必要な勉強時間が大きく異なるので、司法試験の偏差値は公認会計士よりも圧倒的に高いのではないかと考えています。

他にも『資格の難易度』を紹介しているWebサイトはいくつかありますが、そのいずれも万人が納得できる内容であるかは疑問です。

なお『行政書士』を含めているのは、『公認会計士』になった場合に登録ができるからです。

『公認会計士』になったら、『税理士』と『行政書士』に登録できるようになります。

偏差値の妥当性はどうであれ、公認会計士の『難易度』は高い方だと思って頂いて大丈夫でしょう。

公認会計士試験の『勉強時間』

勉強方法(21-7)

先ほど紹介した公認会計士試験の『難易度』を考える上で最も重要な要素の1つが『勉強時間』です。

東京CPA会計学院という近年、急速に勢力を拡大している公認会計士試験の専門学校のWebサイトに『資格別 必要勉強時間』というものが記載されていたので紹介します。

資格名必要勉強時間
司法試験6,000時間
公認会計士3,000時間
税理士2,500時間
日商簿記1級800時間
行政書士600時間

以前の記事では、公認会計士試験の合格に必要な勉強時間は3,000-4,000時間と紹介したので、この東京CPA会計学院が示している『3,000時間』はかなり短い方だと言えます。

先ほど、共に10%程度の合格率である『日商簿記1級』と『公認会計士試験』の難易度が同じなのかと疑問を投げかけましたが、その答えの1つが現れていますね。

合格に必要な勉強時間は『日商簿記1級』が800時間なのに対し、『公認会計士試験』は3,000時間です。

必要な勉強時間に数倍の差があるので、『公認会計士』の方が難しいと考えた方が妥当でしょう。

公認会計士試験の『勉強方法』

勉強時間(21-6)

これまでの説明で、公認会計士試験は『受験資格』の制限がないから誰でも受験することはできるけど、『難易度』は高そう、ということがわかって頂けたと思います。

簡単に手を出すことはできますが、下手に手を出すと火傷しちゃいます。

それでは、公認会計士試験に合格している受験生はどのような方法で勉強しているのでしょうか。

勉強方法:専門学校(予備校)等

最もオーソドックスな方法は、『専門学校(予備校)』に通うことです。

公認会計士試験に合格する受験生の80%前後がこの方法です。

実際には90%前後と推定していますが、いくつかの専門学校は合格者数をWebサイト上で公表していないので、大手3校(TAC、大原、東京CPA)だけを集計し、80%前後としています。

なお、大手専門学校別の合格者数や専門学校以外の方法について紹介した記事を用意していますので、もっと詳しく知りたい方は次の記事をご覧になってください。

【公認会計士への道】専門学校(予備校)、中央大学経理研など
公認会計士試験に合格するにはどうしたらいいでしょうか。王道は専門学校(予備校)に通うことですが、中央大学のカリキュラム(経理研究所)を利用する方法もあります。また、会計大学院に通って短答式の科目免除を得るのも1つの戦略になるでしょう。

勉強方法:独学

一方、少数派ですが『独学』で目指す方法もあります。

基本的に私も資格試験は『独学』派です。

しかし、『公認会計士試験』に限っては、専門学校(予備校)に通いました。

公認会計士試験の受験を決めた時は会社に勤めていたので『独学』も考えましたが、合格できるレベルになるだけの市販の教材が揃っていないと判断したからです。

また、公認会計士試験は絶対評価の試験ではなく、『相対評価の試験』だからというのも大きな要因でした。

『相対評価の試験』では、他の受験者が正答できる問題を間違えてしまうのは致命的です。

一方、他の受験者が正答できない問題は間違えても全然問題ありません。

そのような試験なので、他の多くの受験生と同じようなカリキュラムで勉強した方が効率が良いと判断しました。

『独学』に関する記事も用意していますので、興味のある方はご覧になってください。

【公認会計士試験】独学での合格は無理?
三大国家資格の1つである公認会計士試験に『独学』で合格することは可能なのでしょうか。独学で合格することは『極めて困難』と言わざるを得ないですが、その理由について紹介します。『独学』での受験を考えている方は、ぜひご覧になってください。

個人的な意見ですが、予備校に通わずに『独学』で有名大学に合格したような経験がない一般的な人は、『独学』は避けた方が無難でしょう。

まとめ

まとめ(21-8)

最後に簡単にまとめておきます。

公認会計士試験の内容
  • 試験は2種類(短答式試験と論文式試験)
  • 試験科目は5科目(会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目)
  • 会計学(財務会計論と管理会計論)が最も重要
  • 受験資格はなし
  • 総合的に見て難易度は高め
  • 合格に必要な勉強時間は最低3,000時間程度
  • 専門学校(予備校)に通って勉強するのが一般的

公認会計士試験の全体像が把握できたのではないでしょうか。

公認会計士試験に興味があるということは、『公認会計士』に興味があるということでしょう。

『公認会計士』自体に興味がある方は、次のメリットを紹介した記事もご覧になってください。

記事を読めば、目指す価値があるのか多少は判断できるようになると思います。

【公認会計士のメリット7つ】目指す価値のある資格です。
公認会計士として実際に感じた『メリット』を7つ紹介しています。公認会計士は目指す価値がある『士業』だと思いますが、記事をご覧になると、その理由を知ることができます。公認会計士の魅力を知りたい方は是非ご覧になってください。