監査法人の出世競争は厳しいよ!

アイキャッチ(15-1)公認会計士

どうも、監査法人に勤務していたgordito(ゴルディート)です。

  • 監査法人には出世競争とかあまりなさそうだけど、実際はどうなの?
  • 監査法人の昇格や昇進はほぼ横並びなのかな?

このような疑問を解決できる記事になっています。

なぜなら、監査法人に勤務し昇進を経験した私が、監査法人における出世競争について紹介するからです。

記事を読み終えると、意外に監査法人の出世競争は穏やかではないことが理解できます。

職位の低い人たち(主に5年目ぐらいまで)の出世競争にフォーカスしています。

なお、10年目ぐらいまで(『マネージャー』という職位まで)も同じような感じだと聞いています。

監査法人の人事評価制度

人事評価(15-2)

監査法人では『多角的な人事評価制度』が整備・運用されており、複数人(3人以上など)の上司から人事評価される仕組みになっています。

私が勤務していた大手監査法人を前提にしていますが、監査法人の規模や方針で人事評価にも差があると思います。

監査法人の人事評価制度に興味のある方は次の記事をご覧ください。

監査法人の人事評価制度はけっこうイケてます!
監査法人に勤務するメリットの1つである『人事評価制度』を紹介します。複数の監査チームに所属するがゆえに、一般企業とは異なる『多角的な人事評価制度』が整備、運用されています。結果として、多様な人材の『適材適所』を可能にしています。

昇進者の選定

昇格者選定(15-3)

最初に1人1人が複数人の上司から評価されます。

次に同じ職位の中で順位づけがなされます。

監査法人で最も低い職位はスタッフです。

芸人の狩野英孝に呼ばれちゃいそうですね。

スタッフは、だいたい入社1年目から5年目の人たちが該当します。

この1年目から5年目のスタッフが同じ土俵で評価され、順位づけされることになります。

1年目のスタッフは評価がしづらいので、順位表の下位に固まっていますが、3年目から5年目ぐらいのスタッフは年次に関係なく順位が前後します。

仮に3年目のスタッフが優秀だと評価されれば、4年目のスタッフが昇進するのと同じタイミングで昇進します。

イメージがしづらいと思いますので、簡単な例を使って説明します。

『昇格』や『昇進』の例

こども監査法人にスタッフが12人いて、ある年の『年次(1〜5年目)』や『評価(A〜D)』が次の通りであったとします。

昇進できる人数は3人だとします。

順位名前年次評価
1しまじろうさん4年目A
2アリエルさん4年目A
3ミッキーさん3年目A
4プーさん5年目B
5ミニーさん3年目B
6ドナルドさん4年目B
7ムーミンさん3年目C
8みみりんさん2年目C
9オラフさん2年目C
10クリリンさん1年目D
11バタコさん1年目D
12のび太さん1年目D

この場合、しまじろうさんアリエルさんミッキーさんの3人が昇進することになります。

プーさんは5年目ですが、残念ながら評価が4番目なので昇進できず、スタッフ6年目に突入となります。

ハニーポットを手放す必要がありそうですね。

なお、基本的に修了考査に合格し、『実務補習所』を修了することも昇進の条件になっている監査法人が多いです。

修了考査は、公認会計士試験の合格者が実務補習所(学校みたいなところ)に3年間通った上で、最終的に受験する試験です。

修了考査に合格し『実務補習所』を終えて(他に2年間の『実務経験』も必要)、公認会計士登録ができるようになります。

そのため、仮にミッキーさんがミニーさんと遊びすぎて修了考査に落ちてしまった場合には、5年目のプーさんが昇進できることになります。

これはあくまでも例ですが、実際も似たような感じです。

3年目で昇進する人もいれば、6年目でも昇進できない人もいます。

『昇進前』と『昇進後』の給料の差は月給にして5-10万円程度になります。

年収にすると100万円前後の差になります。

一般の会社で、入社3-5年目でここまで年収に差がつくことは少ないでしょう。

監査法人の『出世競争』は外部の人が思っている以上に厳しいのです。

同じ職位で長い期間停滞していると、年収が下がったり、降格したりする監査法人もあります。事実上の退職勧告ですね。

『昇進』は上司との『相性』が重要

上司次第(15-4)

スタッフの順位づけの際には、職位が上位の人たちで会議が行われます。

1-2つ程度上の職位の人たちが参加する会議で順位づけの案を作成し、さらに上の職位(『パートナー』という職位)に承認してもらったりします。

その会議の場では発言力が強い人の意見が通りやすくなっています。

先ほどの例で、ドナルドさんの上司がドナルドさんを、あれやこれやと理由をつけてゴリ押ししたとします。

そうすると、6位から4位へと同じB評価の中で順位が上位にスライドしたりします。

もっとすごい時は、ドナルドさんを高く評価している上司が超お偉いさんであった場合(パートナー)、その上司は評価会議にすら出ていないのに意見が反映されたりします。

結果として、ドナルドさんはB評価からA評価に変わり、3位になっちゃいます。

ドナルドさんは修了考査に無事受かれば昇進ですね。

そうなると、ミッキーさんは残念ながら昇進できません。

このように、上司との相性や監査法人内での上司の影響力が昇進するためには重要になってきます。

スタッフは基本的に監査チームを選ぶ権限がないので、どのような上司のもとで働くかは『運』ですね。

人事面談で、希望する監査チームを伝えることはできます。

こういうのはどの組織でも同じで、ただ単にその人が優秀か否かだけでなく、様々な要因が絡んで出世競争を勝ち抜いていく人と、そうでない人がいるのでしょう。

今、ふと『半沢直樹』を思い出しました。

あそこまで陰湿な人事評価(や人事異動)はないでしょうが、実際の社会でも、いろんな思惑が絡んでいるのは事実だと思います。

不満であれば『転職』も一考

転職(15-5)

監査法人の人事評価で、監査法人の人事評価制度を紹介し、今回、『昇進者の選定』の具体例を紹介しました。

個人的にはなかなか良い人事評価制度だと考えていますが、もちろん監査法人内の全ての人が満足しているわけではありません。

あからさまな出世競争を嫌う人もいますし、何より自分自身の人事評価に不満を持っている人もいます。

実際、私の周りでも、入社後数年で『昇進する同期』と『昇進しない同期』が明確に線引きされることを良しとしていない人もいましたし、人事評価に納得いっていない人もいました。

稀ですが、使えない会計士というレッテルを貼られ、干されてしまうこともあります。

一度、使えないと思われてしまうと、そのレッテルを剥がすのは至難の業です。

【悲しい事実】監査法人では干されることがあります。
稀ですが、監査法人では仕事が与えられず、干されることがあるのは事実です。干された場合にどうなるのか、また干される理由、さらに干された場合の解決法について記載しています。

居心地が良いと感じないのであれば、転職を考えてみるのも良いかもしれません。

監査法人の人事評価で紹介した通り、組織が変われば評価される可能性もありますからね。

大手監査法人であれば、事業部を変えてもらい、誰にも知られていない環境に身を置くのも1つの手でしょう。

公認会計士の転職に関する内容(転職理由、おすすめ転職エージェント、転職活動の留意点等)を知りたい方は、次の記事をご覧になってください。

【公認会計士の転職】おすすめエージェントや留意点を紹介します。
公認会計士や会計士試験合格者の転職事情を紹介しています。転職エージェントの登録タイミング、おすすめの転職エージェント、転職活動における留意点、監査法人を退職する際の留意点等について紹介しています。

実際に私が転職活動をした時の内容を紹介しているので、転職した方やキャリアに悩んでいる方には参考になると思います。

まとめ

まとめ(15-6)

簡単にまとめます。

まとめ
  • 監査法人では、就職して3-4年目で同期と大きな給料の差(年収差100万円前後)がつく。
  • 早い人は3年目で昇進するも、遅い人は6年目でも昇進できない。
  • 昇進できるか否かは、関わった上司次第という側面がある。
  • 『人事評価』や『出世競争』に不満であれば『転職』も視野に入れても良い。

いかがでしょうか。

監査法人の出世競争は穏やかではないことが理解できたのではないでしょうか。

はたから見ると監査法人は平和そうに見え、実際に平和な部分もありますが、『出世競争』という点においては平和ではないのが事実だと思います。

さて、出世競争において『学歴』は関係するのでしょうか。

監査法人も学歴社会なのか興味のある方は次の記事をご覧ください。

監査法人も学歴社会なのか?
日本社会にはびこる『学歴』重視は監査法人でも同じでしょうか。監査法人に勤務していた際の『学歴』にまつわる経験を紹介します。学歴社会だと感じる面とそうでない面、両方の側面を実感しています。

『学歴』と言えば、出身高校、出身大学ですよね。

公認会計士はどの大学出身者が多いのでしょうか。

公認会計士の大学ランキングに興味のある方には次の記事がおすすめです。

公認会計士の大学ランキング(大学別合格者数)と大学・学部選び
公認会計士の大学ランキング(大学別合格者数)と、公認会計士を目指す上での大学・学部選びについて紹介しています。公認会計士を目指そうと考えている高校生はぜひご覧になってください。公認会計士について知識として知っておきたい方々にもおすすめです。

出世競争が厳しいというのは監査法人のマイナス面だと思います。

人によってはプラス面かもしれません。

その他の監査法人のマイナス面(つらいこと、嫌なこと)に興味のある方は次の記事をご覧ください。

【監査法人のつらいこと7つ】監査法人勤務のマイナス面を紹介!
『監査法人』を勤務先とするマイナス面はないのでしょうか。この記事では、私が勤務して実際に感じた監査法人の『つらいこと・嫌なこと』を7つ紹介しています。監査法人に就職や転職を考えている方は覗いてみてください。