どうも、公認会計士として監査法人に勤務していたgordito(ゴルディート)です。
- 準大手監査法人とは具体的にどの監査法人を指すの?
- 就職・転職するならどの監査法人が良いのかな?
このような悩みや疑問を少しでも解決できる記事になっています。
なぜなら、監査法人に勤務経験のある私が各準大手監査法人について紹介するからです。
具体的には、各準大手監査法人の規模(売上高や人員数等)、監査クライアント、口コミサイトにおける会社評価等について紹介します。
記事を読み終えると、準大手監査法人についての理解が深まります。
準大手監査法人の定義
最初に、公認会計士・監査審査会が年次で公表しているモニタリングレポートに従う形で、準大手監査法人を定義します。
公認会計士・監査審査会のモニタリングレポート上の準大手監査法人は次の通りです。
大手監査法人に準ずる規模の監査法人。
公認会計士・監査審査会
定量的なものがなく、なんとも言えない定義です。
大手監査法人の定義を把握しないとよくわからないと思いますので、大手監査法人の定義も紹介しておきます。
モニタリングレポート上の大手監査法人は次の通りです。
上場国内会社を概ね 100 社以上被監査会社として有し、かつ常勤の監査実施者が 1,000 人以上いる監査法人。
公認会計士・監査審査会
つまり、被監査会社100社以上かつ常勤の監査実施者1,000人以上に準ずる規模を誇るのが準大手監査法人ということですね。
具体的には、次の5つの監査法人を指します。
大手監査法人と同様、準大手監査法人もグローバルネットワークのメンバーファームになっており、カッコ内が所属しているネットワークになります。
お気づきの方もいることでしょう。
大監査法人のPwCあらたもPwCのメンバーファームで、準大手監査法人のPwC京都もPwCメンバーファームです。
準大手監査法人の紹介
準大手監査法人がどの監査法人を指すのかご理解頂けたと思います。
ここから各々の監査法人の概要を簡単に紹介します。
太陽有限責任監査法人
最初に紹介するのは、太陽有限責任監査法人(以下、太陽)です。
売上高 | 12,177百万円 (2019年6月〜2020年6月) |
人員数(※) | 1,031名 (2020年9月末日現在) |
被監査会社 | 952社 (2020年6月末日現在) |
同じく準大手監査法人であった優成監査法人と2018年7月に合併したことにより、準大手監査法人の中で頭1つ抜けた規模になっています。
世界第6〜7位の規模を誇るGrant Thornton Internationalのメンバーファームとなっています。
監査クライアント
Jトラスト(元々、優成監査法人のクライアント)やロボット相撲の主催で有名な富士ソフトなどをクライアントとしています。
何かと話題のRIZAPやレオパレス21もクライアントですね。
金融クライアントのない準大手監査法人がある中で、太陽は金融クライアントも有しており、総合力は高いと言えるでしょう。
法人の評価
監査法人の評価は、外部評価(顧客満足度等)と内部評価(従業員満足度等)に分かれます。
監査契約を締結しようとしている会社の方々が、この記事に訪れることは稀だと思いますので、外部評価に関する内容は省略します。
一方、この記事に辿り着いている人の中には、監査法人への就職や転職を考えている方がいると思いますので、内部評価だけ紹介します。
複数の口コミサイトにおける太陽の評価は次の通りです。
口コミサイト | 総合評価 (回答者数) |
転職会議 | 3.19 (59人) |
OpenWork (旧Vorkers) | 3.28 (77人) |
キャリコネ | 2.9 (-) |
エン ライトハウス (旧カイシャの評判) | 2.4 (2人) |
参考:各社Webサイト(2020年9月26日時点)※以下同様
なお、各口コミサイトの概要を知りたい方は次の記事をご覧ください。
参考記事:口コミサイトの概要と比較(準備中)
太陽だけの総合評価を紹介しても評価が良いのか悪いのか判断しようがないため、当記事の最後の方で簡単に他の準大手監査法人と比較します。
PwC京都監査法人
次に紹介するのはPwC京都監査法人(以下、PwC京都)です。
売上高 | 5,777百万円 (2019年7月〜2020年6月) |
人員数(※) | 330名 (2020年10月末日現在) |
被監査会社 | 319社 (2020年6月末日現在) |
参考:PwC京都Webサイト 及び 説明書類
Big4の1つであるPricewaterhouseCoopersのメンバーファームであり、信頼性の高い監査法人と言えるでしょう。
京セラの稲盛名誉会長の意向により、みすず監査法人解散の際に、京都事務所だけで独立した京都監査法人を設立したと言われています。
監査クライアント
京都事務所が監査法人になったということもあり、先ほど紹介した京セラ、日本電産、任天堂など京都にゆかりのある企業をクライアントとしています。
また、監査報酬10億円超えのKDDIをクライアントとしている点も特筆すべきでしょう。
他の準大手監査法人と比較して、名だたる大企業のクライアントが多いです。
法人の評価
複数の口コミサイトにおけるPwC京都の評価は次の通りです。
口コミサイト | 総合評価 (回答者数) |
転職会議 | 3.04 (64人) |
OpenWork (旧Vorkers) | 3.41 (12人) |
キャリコネ | 1.9 (-) |
エン ライトハウス (旧カイシャの評判) | 4.8 (2人) |
キャリコネでは極めて低い評価をされていますが、一方でエン ライトハウスでは極めて高い評価をされています。
合う人には合うけど、合わない人には合わない監査法人なのでしょうか。
いずれにしても偏りがありすぎです。
必要十分な口コミ数がないと、このような極端な結果になってしまうことがあり、信ぴょう性に難がありますね。
東陽監査法人
次に紹介するのは東陽監査法人(以下、東陽)です。
売上高 | 4,500百万円 (2019年7月〜2020年6月) |
人員数(※) | 400名 (2020年9月末日現在) |
被監査会社 | 314社 (2020年6月末日現在) |
Webサイトと説明書類からでは確認できませんが、業界では、非常勤率が高い監査法人として有名です。
世界第8〜9位の規模を誇るCrowe Globalのメンバーファームとなっています。
監査クライアント
ベクトル、岡三証券グループ、不二サッシ等をクライアントとしています。
法人の評価
複数の口コミサイトにおける東陽の評価は次の通りです。
口コミサイト | 総合評価 (回答者数) |
転職会議 | 3.36 (9人) |
OpenWork (旧Vorkers) | 2.96 (16人) |
キャリコネ | 3.2 (-) |
エン ライトハウス (旧カイシャの評判) | 3.6 (3人) |
総合的に悪くない評価となっています。
ただ、OpenWorkでだけ評価が低いのが気になりますね。
仰星監査法人
次に紹介するのは仰星監査法人(以下、仰星)です。
売上高 | 3,519百万円 (2019年7月〜2020年6月) |
人員数(※) | 331名 (2020年6月末日現在) |
被監査会社 | 267社 (2020年6月末日現在) |
TACで監査論の講師をしていた南先生が理事長を務めている監査法人です。
そのため、現在の受験生には有名でないかもしれませんが、私と同時期に会計士試験の勉強をしていた受験生で仰星の名を知っている人は多いことでしょう。
世界第8〜9位の規模を誇るNexia Internationalのメンバーファームとなっています。
監査クライアント
コムシスホールディングス、熊谷組、西松建設等をクライアントとしており、建設業界に強みを持っています。
法人の評価
複数の口コミサイトにおける仰星の評価は次の通りです。
口コミサイト | 総合評価 (回答者数) |
転職会議 | 3.06 (17人) |
OpenWork (旧Vorkers) | 3.15 (6人) |
キャリコネ | 2.2 (-) |
エン ライトハウス (旧カイシャの評判) | - |
三優監査法人
最後に紹介するのは三優監査法人(以下、三優)です。
売上高 | 3,345百万円 (2019年7月〜2020年6月) |
人員数(※) | 247名 (2020年9月1日現在) |
被監査会社 | 215社 (2020年6月末現在) |
監査法人の歴史は合併の歴史と言ってもいいぐらい、合併の多い監査法人業界ですが、三優は合併等をしていない珍しい準大手監査法人として有名です。
世界第5位の規模を誇るBDO Internationalのメンバーファームとなっています。
監査クライアント
USEN-NEXT HOLDINGSやエアトリをクライアントとしています。
また、NASDAQ上場を果たしていた(現在は上場廃止)FRONTEOをクライアントとして迎え入れています。
法人の評価
複数の口コミサイトにおける三優の評価は次の通りです。
口コミサイト | 総合評価 (回答者数) |
転職会議 | 3.32 (34人) |
OpenWork (旧Vorkers) | 3.01 (7人) |
キャリコネ | - |
エン ライトハウス (旧カイシャの評判) | 2.2 (2人) |
準大手監査法人の中では平均的な評価でしょうか。
準大手監査法人比較
売上高等比較
売上高や人員数等の準大手監査法人比較をすると次のようになります。
太陽 | PwC京都 | 東陽 | 仰星 | 三優 | |
売上高 (百万円) | 12,177 | 5,777 | 4,500 | 3,519 | 3,345 |
人員数 (名) | 1,031 | 330 | 400 | 331 | 247 |
監査関与会社数 (社) | 952 | 319 | 314 | 267 | 215 |
三優以外は最新の説明書類を確認できなかったので、少し微妙な比較になっています。
近いうちに確認できるようになるはずなので、確認でき次第、更新します。
準大手監査法人で並べてみると、合併を果たした太陽が頭1つ抜けていることがわかるでしょう。
規模だけ見た場合、現在の準大手監査法人は太陽+4と考えても良いですね。
法人の評価比較
公認会計士試験の合格後に監査法人に就職予定の受験生の中にも、多くの受験生と同じように大手監査法人に進むのは乗り気でない人もいると思います。
そのため、準大手監査法人の口コミサイト(4社)の結果も一覧にしておきます。
口コミ数が少なすぎて信頼性に疑問符がつきますが、PwC京都と東陽の評価が高くなっています。
ですが、PwC京都はキャリコネでの評価が低く、東陽はOpenWorkでの評価が低いです。
あくまで参考程度にとどめた方が良いと思います。
興味のある法人は自ら情報を収集しに行きましょう。
内部の人にぜひ会ってください。
まとめ
簡単にまとめます。
いかがでしょうか。
準大手監査法人に対する理解が深まったのではないでしょうか。
準大手監査法人と比較して、大手監査法人は桁違いの業務収入、人員数等を誇っています。
そのような大手監査法人4法人に興味のある方は次の記事をご覧ください。
中小監査法人に興味のある方は次の記事をご覧ください。
監査法人(主に大手監査法人と準大手監査法人)の各ランキングに興味のある方には次の記事がおすすめです。