【大手監査法人】4法人の概要をサラッと紹介します。

大手監査法人 - アイキャッチ(65-1)公認会計士

どうも、公認会計士として大手監査法人に勤務していたgordito(ゴルディート)です。

  • 大手監査法人とは具体的にどの監査法人を指すの?
  • 各大手監査法人の特徴を知りたい。
  • Big4と大手監査法人の関係性は?
  • 就職・転職するならどの監査法人が良いのかな?

このような悩みや疑問を少しでも解決できる記事になっています。

なぜなら、大手監査法人に勤務経験のある私が各大手監査法人について紹介するからです。

具体的には、各大手監査法人の規模(業務収入や人員数等)、監査クライアント、口コミサイトにおける会社評価等について紹介します。

記事を読み終えると、大手監査法人についての理解が深まります。

大手監査法人の定義

大手監査法人の定義(65-2)

最初に、金融庁に置かれている公認会計士・監査審査会が年次で公表しているモニタリングレポートに従う形で、大手監査法人を定義します。

公認会計士・監査審査会のモニタリングレポート上の大手監査法人は次の通りです。

上場国内会社を概ね 100 社以上被監査会社として有し、かつ常勤の監査実施者が 1,000 人以上いる監査法人。

公認会計士・監査審査会

具体的には、次の4つの監査法人を指します。

  • 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)
  • EY新日本有限責任監査法人(Ernst & Young)
  • 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
  • PwCあらた有限責任監査法人(PricewaterhouseCoopers)

四大監査法人と呼ばれることもありますね。

なお、各大手監査法人は、グローバル展開しているプロフェッショナルサービスネットワークのメンバーファームになっていますが、カッコ内が属しているネットワークになります。

Big4(ビッグフォー)と言われているネットワークのことです。

つまり、大手監査法人の4法人は必ずBig4のいずれかのメンバーファームになっているということです。

大手監査法人の紹介

大手監査法人の紹介(65-3)

大手監査法人がどの監査法人を指すのか、またbig4との関係性についてもご理解頂けたと思います。

準大手監査法人に分類されるPwC京都監査法人もPwCのメンバーファームになっていますが、詳細は当記事では省略します。

ここから各々の監査法人の概要を簡単に紹介します。

有限責任監査法人トーマツ

最初に紹介するのは、有限責任監査法人トーマツ(以下、トーマツ)です。

機関車トーマスに名が似ていることから、ネット上や受験生の間などではトーマスと言う人もいます。

資本金1,041百万円
(2020年5月末日現在)
業務収入114,592百万円
(2019年6月〜2020年5月)
経常利益2,518百万円
(2019年6月〜2020年5月)
当期純利益2,602百万円
(2019年6月〜2020年5月)
人員数6,753名
(2020年5月末日現在)
監査関与会社3,296社
(2020年5月末日現在)

Big4に日本人の名が!

先ほど、トーマツはDeloitte Touche Tohmatsuのメンバーファームであることを紹介しましたが、Big4の中で唯一、日本人の名前(Tohmatsu)が入っています。

等松さんの功績ですね。日本人としては嬉しい限りです。

また、大手監査法人の中で最も業務収入が多く、人員数も多いため、最初に紹介した次第です。

業務収入や人員数については、後ほど他の監査法人との比較を紹介します。

トーマツのイメージ

他の大手監査法人との比較では体育会系というイメージでしょう。

トーマツを設立した等松さん、青木さんが共に海軍出身だから、その流れを汲んでると言われたりします。

しかし、知り合いを見ている限り、トーマツの会計士が皆、体育会系だとも言えません。

各法人のWebサイトで沿革を確認して頂ければわかる通り、監査法人の歴史は合併の歴史とも言って良いほど、合併に合併を繰り返しています。

大手監査法人ではないですが、最近の有名な合併と言えば、2年前の太陽有限責任監査法人優成監査法人の合併ですね。

トーマツも1968年の等松・青木監査法人の設立から始まったものの、何度も何度も合併を繰り返して、今の姿に落ち着いています。

そのため、事業部や監査チームでカラーが大きく異なり、必ずしもバリバリの体育会系ばかりというわけでもないでしょう。

他の大手監査法人も同じことが言えます。

監査クライアント

監査報酬が大きい会社の1つである三菱UFJフィナンシャルグループをクライアントとしています。

その他、5大商社のうち3社をクライアントに持つなど商社に強いです。

他にも強い分野、弱い分野がありますが、詳しくは『監査法人ランキング』で紹介します。

【監査法人のランキング2020】売上、人員、クライアントを比較!
2020年の最新の情報をもとに監査法人のランキングを紹介します。具体的には、売上・利益ランキング、人員数ランキング、クライアント数ランキング、日経225監査シェア等を紹介します。公認会計士や監査法人に興味にある方にオススメの記事です。

法人の評価

監査法人の評価は、外部評価(顧客満足度等)内部評価(従業員満足度等)に分かれます。

監査契約を締結しようとしている会社の方々が、この記事に訪れることは稀だと思いますので、外部評価に関する内容は省略します。

一方、この記事に辿り着いている人の中には、監査法人への就職や転職を考えている方がいると思いますので、内部評価だけ紹介します。

内部で勤務している会計士による監査法人の評価が気になることでしょう。

複数の口コミサイトにおけるトーマツの評価は次の通りです。

口コミサイト総合評価
(回答者数)
転職会議3.38
(2,130人)
OpenWork
(旧Vorkers)
3.45
(1,328人)
キャリコネ3.0
(-)
エン ライトハウス
(旧カイシャの評判)
3.4
(85人)

参考:各社Webサイト(2020年9月19日時点)※以下同様

全ての口コミサイトで評価は5点満点を採用しています。また、キャリドアという口コミサイトも有名ですが、口コミ数が極端に少ないため除いています。

なお、各口コミサイトの概要を知りたい方は次の記事をご覧ください。

参考記事:口コミサイトの概要と比較(準備中)

口コミサイトは、就職や転職する際に利用すると良いと思います。内部の人間から評価の低い会社には就職したくないですからね。

トーマツだけの総合評価を紹介しても評価が良いのか悪いのか判断しようがないため、当記事の最後の方で簡単に他の大手監査法人と比較します。

EY新日本有限責任監査法人

次に紹介するのは、EY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)になります。

アントニオ猪木が創立した新日本プロレスに名が似ていることから、ネット上や受験生の間などでは新日本プロレスとか単にプロレスと言う人もいます。

資本金1,040百万円
(2020年6月末日現在)
業務収入102,005百万円
(2019年7月〜2020年6月)
経常利益904百万円
(2019年7月〜2020年6月)
当期純利益258百万円
(2019年7月〜2020年6月)
人員数5,554名
(2020年6月末日現在)
監査関与会社3,709社
(2020年6月末日現在)

設立者の1人が日本公認会計士協会の初代会長

EY新日本の前身である監査法人太田哲三事務所(日本初の監査法人)の太田哲三氏は、日本公認会計士協会の初代会長です。

そのため、由緒ある監査法人と言えるでしょう。

業務収入や人員数から見ても、トーマツに負けない日本を代表する大手監査法人の1つです。

EY新日本のイメージ

他の大手監査法人との比較では真面目というイメージでしょう。

先ほど紹介した太田哲三氏は大学の教授であったことからも、しっかりと監査業務を遂行していたものと想像します。

しかし、トーマツと同様、EY新日本も合併を繰り返しているため、単一のイメージで表現するのは無理があるでしょう。

監査クライアント

監査報酬の大きいみずほフィナンシャルグループをクライアントとしています。

その他、不動産業、建設業や製造業に強みを持っています。

蛇足ですが、私が新卒で就職したメーカーもEY新日本に監査して頂いていました。

法人の評価

複数の口コミサイトにおけるEY新日本の評価は次の通りです。

口コミサイト総合評価
(回答者数)
転職会議3.04
(1,627人)
OpenWork
(旧Vorkers)
3.06
(1,222人)
キャリコネ3.0
(-)
エン ライトハウス
(旧カイシャの評判)
3.1
(85人)

後ほど紹介しますが、他の大手監査法人と比較して評価が低くなっています。

他の大手監査法人と比較して、悪い噂が多いというイメージもないので、控え目に評価する人たちが多い監査法人なのでしょうか。

有限責任あずさ監査法人

次に紹介するのは、有限責任あずさ監査法人(以下、あずさ)になります。

ネット上や受験生の間などでは、JR東日本が運行している特急あずさになぞらえることがあります。

資本金3,000百万円
(2020年6月末日現在)
業務収入105,970百万円
(2019年7月〜2020年6月)
経常利益2,374百万円
(2019年7月〜2020年6月)
当期純利益985百万円
(2019年7月〜2020年6月)
人員数6,268名
(2020年6月末日現在)
監査関与会社3,635社
(2020年6月末日現在)

日本の監査業界におけるプレゼンスは高い

あずさが提携しているKPMGは、グローバルで見た場合、Big4の中で小粒感が否めません。

業務収入や人員数で見ても、若干小規模になります。

しかし、日本の監査業界においてはそんなことはありません。

業務収入、人員数や監査関与会社数から見ても、トーマツやEY新日本に負けない日本を代表する大手監査法人です。

トーマツ、EY新日本、あずさの3法人の規模は横並びと考えて問題ありません。

あずさのイメージ

他の大手監査法人との比較では穏やかというイメージでしょう。

女性に優しい監査法人(真偽は私にはわかりません)と言われているので、その辺からのイメージでしょうか。

大手監査法人の中で女性人気が高い監査法人です。

しかし、ご多分に漏れず、あずさも合併を繰り返しているため、事業部や監査チームによって大きくカラーは異なるでしょう。

監査クライアント

監査報酬の大きい三井住友フィナンシャルグループをクライアントとしています。

成り立ちから銀行業だけでなく、住友系に強みを持っています。

なお、特急あずさを運行しているJR東日本は、あずさのクライアントです。

法人の評価

複数の口コミサイトにおけるあずさの評価は次の通りです。

口コミサイト総合評価
(回答者数)
転職会議3.55
(1,860人)
OpenWork
(旧Vorkers)
3.54
(1,087人)
キャリコネ3.2
(-)
エン ライトハウス
(旧カイシャの評判)
3.3
(79人)

先ほどのEY新日本と一変して、軒並み高評価を得ているのがあずさです。

あくまでも口コミサイト上ですが、EY新日本とあずさの評価は対極にあると言って良いでしょう。

PwCあらた有限責任監査法人

最後に紹介するのは、PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)です。

ネット上や受験生の間などでも、トーマスやらプロレスやらと他の大手監査法人のようにイジられることがあまりない印象です。

資本金1,000百万円
(2020年6月末日現在)
業務収入54,343百万円
(2019年7月〜2020年6月)
経常利益3,365百万円
(2019年7月〜2020年6月)
当期純利益2,461百万円
(2019年7月〜2020年6月)
人員数3,060名
(2020年6月末日現在)
監査関与会社1,182社
(2020年6月末日現在)

毛色が少し異なる

PwCあらたは、大手監査法人と言えども、業務収入、人員数や監査関与会社数から、他の3法人より一回り小規模です。

また、社員数割合が少なかったり、業務収入に占める非監査証明業務の割合が高かったりと、他の3法人と比較して特徴的な面があります。

なお、女性初の公認会計士協会会長となった関根愛子氏はPwCあらた出身です。

PwCあらたのレピュテーションは高まったことでしょう。

PwCあらたのイメージ

他の大手監査法人との比較ではクールというイメージでしょう。

大手監査法人の中で最も外資系色が強いと言われています。

成り立ちから、他の3法人と比較して監査法人のカラーはまとまっているだろうと思います。

監査クライアント

誰もが知る日本を代表する企業である、トヨタ自動車とソニーをクライアントとしています。

法人の評価

複数の口コミサイトにおけるPwCあらたの評価は次の通りです。

口コミサイト総合評価
(回答者数)
転職会議3.32
(405人)
OpenWork
(旧Vorkers)
3.52
(577人)
キャリコネ3.0
(-)
エン ライトハウス
(旧カイシャの評判)
3.4
(35人)

他の3法人と比較すると回答者数がグッと減るので、点数の信憑性は若干落ちるかもしれません。

後ほど紹介しますが、トーマツと似たような評価結果になっています。

大手監査法人比較

大手監査法人比較(65-4)

業務収入等比較

業務収入や人員数等の大手監査法人比較をすると次のようになります。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
業務収入
(百万円)
114,592102,005105,97054,343
当期純利益
(百万円)
2,6022589852,461
人員数
(名)
6,7535,5546,2683,060
監査関与会社数
(社)
3,2963,7093,6351,182
  • 業務収入・当期純利益:トーマツのみ2019年6月〜2020年5月、その他の3法人は2019年7月〜2020年6月の実績。
  • 人員数・監査関与会社:トーマツのみ2020年5月末日現在、その他の3法人は2020年6月末現在。

EY新日本やあずさと大差ないですが、それでもトーマツが日本を代表する監査法人の筆頭格であることがわかると思います。

なお、PwCあらたの規模が他の3法人より小さめなので、PwCあらたを除外し、三大監査法人という言い方をする場合もあります。

採用人数(定期採用)比較

人員数から推測できると思いますが、トーマツ、EY新日本、あずさは概ね同じ人数を定期採用しており、PwCあらたは若干少なくなっています。

公認会計士試験(令和元年)の合格発表で紹介しましたが、昨年の合格者1,337人のうち約1,000人が大手監査法人に就職していると推測できます。

転職ではなく試験合格者での就職であれば、大手と言えども比較的ラクに就職できることでしょう。

法人の評価比較

公認会計士試験の合格後に監査法人に就職する予定の受験生や監査法人に転職を考えている読者の方もいると思いますので、口コミサイト(4社)の結果も一覧にしておきます。

2020年9月19日時点の情報です。また、全ての口コミサイトで評価は5点満点を採用しています。カッコ内は回答者数です。

トーマツEY新日本あずさPwCあらた
転職会議3.38
(2,130人)
3.04
(1,627人)
3.55
(1,860人)
3.32
(405人)
OpenWork
(旧Vorkers)
3.45
(1,328人)
3.06
(1,222人)
3.54
(1,087人)
3.52
(577人)
キャリコネ3.0
(-)
3.0
(-)
3.2
(-)
3.0
(-)
エン ライトハウス
(旧カイシャの評判)
3.4
(85人)
3.1
(85人)
3.3
(79人)
3.4
(35人)

3サイトで1位を獲得しているのはあずさですが、トーマツやあらたが大きく離されているわけではありません。

一方、EY新日本は全ての口コミサイトで最も評価が低くなっています。

安易に口コミサイトの評価を鵜呑みにしないでください。気になることがあれば、できる限りに法人内部にいる人に確認しましょう。

まとめ

大手監査法人 - まとめ(65-5)

簡単にまとめておきます。

まとめ
  • 大手監査法人といえば、トーマツEY新日本あずさPwCあらたの4法人。
  • トーマツ、EY新日本、あずさの規模はほぼ横並びで、PwCあらたの規模は小さめ。
  • 口コミサイト(会社評価)の総合点数が高いのはあずさ

いかがでしょうか。

大手監査法人に対する理解が深まったのではないでしょうか。

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