【監査法人の離職率】調査したら約10年で50%超の離職率でした。

監査法人の離職率 - アイキャッチ(85-1)公認会計士

どうも、監査法人を勤務していたgordito(ゴルディート)です。

  • 監査法人の離職率が知りたい!

このような疑問を少しは解決できる記事になっています。

なぜなら、監査法人時代の同期の離職率を調査し、それを当記事で公表するからです。

記事を読み終えると、監査法人の離職率の高さが理解できます。

監査法人の離職率

監査法人の離職率(監査法人同期の離職率)(85-2)

一般に監査法人は離職率が高いと言われています。

公認会計士が設立した転職エージェントであるジャスネットキャリアによれば、

10数年以内には5割から7割は最終的には監査法人を去る

ジャスネットキャリア

ようです。

監査法人時代を思い返すと、同期は約50人(1つの事業部)いましたが、1年目で退職している同期は3-4人いました。

一方、新卒で就職した一部上場企業のある事業部の同期は約50人でしたが、1年目で退職した人は0人でした。

病んで休職している同期は1人いました。

前職の経験があったからこそ、就職して1年目で監査法人の離職率は高いなと実感していましたね。

監査法人時代は、年がら年中、退職者通知メールが届いていた記憶があります。

『あっ、○○さん辞めるんだ』って感じでしたね。

監査法人の同期の離職率

実際にどのくらい監査法人を辞めているのか疑問に思ったので、私の同期を調べてみました。

その結果、就職後約10年で51-55%が監査法人を辞めていました。

結婚して名字が変わっているだろう女性が数人いるので、離職率に幅を持たせています。

なぜ同期の離職がわかったかと言いますと、監査法人勤務の会計士の場合、勤務先の監査法人名を検索できちゃうからなんです。

同期1人1人に連絡を取ったわけではありませんよー。

公認会計士協会の『公認会計士等検索システム』を利用すれば、各会計士が現在、勤務している監査法人や事業所(一般企業の場合は不明)がすぐにわかります。

公認会計士の検索に関する記事を用意していますので、興味のある方はご覧ください。

公認会計士を検索しよう!あの人、本当に会計士?
公認会計士の検索は簡単です。『合コン』や『婚活』で知り合った異性が公認会計士を名乗っている時は、詐欺にあわないよう検索しましょう。また、疎遠になってしまった監査法人の同期や受験時代の友人の現在の勤務先もわかるので、検索してみましょう。

公認会計士だけでなく、弁護士も税理士もプロフェッショナルな職業人はちょっとした個人情報を検索できるようになっています。

今回の調査結果は、あくまでも私が就職したある大手監査法人のある事業部門の内容です。

また、ある一時点での離職率が約10年で51-55%というだけなので、単純に10年で5割が退職するとは言えません。

そのため、参考情報程度に留めて置いてください。

監査法人の離職率は監査法人の規模、業績や合格年次等の影響を受けるので、どういう母集団にするのか、どういう期間で区切るのか等により結果はもちろん変動します。

監査法人の離職率が高い理由

監査法人の離職率が高い理由(85-3)

では、なぜ監査法人の離職率は高いのでしょうか。

それは就職する側の事情監査法人側の事情から理解することができます。

  • 就職する側の事情
  • 監査法人側の事情

就職する側の事情

公認会計士試験合格者の実に80-90%は監査法人に就職します。

ほとんどの試験合格者が監査法人に就職する主な理由は次の通りです。

  • 監査業務に対する興味
  • 修了考査対策
  • 業務補助等要件の充足
  • 公認会計士関連費用の節約

監査業務に対する興味

公認会計士試験の試験科目に監査論があります。

監査論の勉強をした受験生は少なからず、監査実務に興味を抱くものです。

全く興味のない受験生もいます。監査だけが公認会計士のフィールドではないので、それもありです。

勉強した監査論を実務で経験できる場の1つが監査法人になります。

そのため、『会計士人生も長いし、まずは監査法人に就職してみるか』というノリで監査法人に就職する受験生が多いです。

修了考査対策

公認会計士試験の試験科目に監査論があるだけでなく、修了考査の試験科目にも監査実務があります。

監査実務を実際に経験した方が、修了考査で高得点を取る可能性は高まるでしょう。

修了考査に合格しないと公認会計士としての資格を有することにはならないので、修了考査対策として監査法人に就職する合理性はそれなりにありそうです。

修了考査に合格してから、職場を変えても全然遅くないですからね。

業務補助等要件の充足

公認会計士になるには3要件プラス1を充足する必要がありますが、そのうちの1つの要件が『業務補助等の期間が2年以上』というものです。

監査法人以外に就職する場合、この要件を充足するのか確認する必要があります。

微妙な業務内容だと、それこそ要件を満たさない可能性があります。

一方、監査法人に就職すれば基本的に要件を満たすことになるので、『とりあえず2年間は監査法人にいるか』と考える人もいます。

公認会計士関連費用の節約

公認会計士試験に合格したら、実務補習所に入所したり、公認会計士協会に登録したり、色々とお金がかかります。

この点は公認会計士になるデメリットという記事で紹介しています。

【公認会計士のデメリット4つ】なる前もなってからも楽じゃない。
公認会計士として実際に感じた『デメリット』を4つ紹介しています。公認会計士は目指す価値のある『士業』だと思いますが、もちろんデメリットもあります。気楽に公認会計士資格を取得、維持できると思わない方が良いでしょう。

もし監査法人に就職すれば、公認会計士試験合格後の様々な費用を監査法人が負担してくれます。

その額は公認会計士になるまでに数十万円に達します。

となると、『とりあえず監査法人に就職するか』と考える人が出てきてもおかしくないですよね。

まとめ

監査法人に就職する理由を紹介してきましたが、どちらかと言うと軽い気持ちで監査法人に就職する試験合格者が多く、また公認会計士登録が済んだら退職しようかなと考えている人がそれなりにいるということです。

それゆえ、監査法人の離職率は高くなりやすいのです。

監査法人側の事情

監査法人は年功序列終身雇用を謳っている組織ではありません。

同じ職位に長年とどまってしまっている場合、その後は昇進ができないような環境です。

ある程度の年数内にスタッフ→シニア→マネージャーと順調に階段を登る必要があります。

人事評価のあまり高くない公認会計士を終身雇用で守るという組織ではないのです。

能力が高くなく年収だけ高い公認会計士をわんさか抱えられるほど監査法人の経営には余裕がありません。

また、コストの高い公認会計士ではなく、相対的に人件費の低い監査補助者を増やす傾向にもあります。

優秀な公認会計士には残ってもらいたいと考えている一方、そうでない公認会計士には時期を見て外の世界に羽ばたいてもらいたいというスタンスなのです。

まとめ

監査法人の離職率 - まとめ(85-4)

最後にまとめます。

まとめ
  • 監査法人の離職率は高め。
  • 私の同期を調べたところ、約10年で51-55%が監査法人を離職している。
  • 監査法人の離職率の高さは、就職する側の事情、監査法人側の事情が相まったもの。

いかがでしょうか。

監査法人の離職率の高さやその理由が理解できたのではないでしょうか。

離職率が高いと監査法人に対するイメージが悪くなるかもしれません。

しかし、監査法人にも良いところはあります。

監査法人の魅力に関する記事もぜひご覧になってください。

【監査法人の魅力8つ】監査法人勤務のメリットは大きいです。
『監査法人』は勤務先として魅力的なのでしょうか。この記事では、私が感じた監査法人の『魅力』を8つ紹介します。公認会計士試験の受験生や監査法人に転職を考えている方におすすめの記事です。記事を読むと監査法人の魅力が理解できます。